今回は「所謂」について解説します。

所謂の意味とは?

「〜と言われる」「俗に言う」「よく言われる」という意味です。
「世に言われている」「言う所の」「一般的に言われている」という言い方もできます。
熟字訓(じゅくじくん)と呼ばれる種類の熟語です。

所謂の読み方

「所謂」と書いて「いわゆる」と読みます。
漢字が好きな人や小説を読む方でなければ知らないのが普通かもしれません。

「謂う」という言葉単体でも「いう」と読む漢字です。
「謂」が後にあるにも関わらず、「い」わゆると読むため、独特な熟語であり、それゆえに読める人が少ない難しい熟語の一つであると言えます。
この、順番が前後しているのは漢文風の読み方であるがゆえであり「謂う所の」と意味は同じです。また、謂うと言うは同じ意味であると考えて問題ありません。

言偏に胃と書く漢字ということで、見かけることは少ないものの読み方と書き方は覚えやすい言葉です。

なお、最近よく見られる間違いとして「しょせん」がありますが、所謂の読みは「いわゆる」のみで、しょせんとは読みません。
おそらく、所詮(しょせん)と混同しているものと思われますが、意味も読みも使い方も異なるため、注意が必要です。

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所謂の類語

「いわば」
これはいわば、接待ゴルフというものではないだろうか

「言うなれば」
これは言うなれば、接待ゴルフというものではないだろうか

「言う所の」
これは世間一般でいう所の、接待ゴルフというものではないだろうか

「俗にいう」
これは俗にいう、接待ゴルフというものではないだろうか

所謂という単語は、これらの類語で置き換えることも可能です。
古い言い方で、申さば(もうさば)、という類語もあります。

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所謂の使い方

「彼は所謂、秀才である」
「これは所謂一つの特技というやつだ」というような使い方とします。

「所謂」は「一般的に言われている」という意味であることから、「一般的に言われている」と置き換えられない文には使用できません。
伝える相手か、世間一般の方に通じる言葉でのみ使用します。
「所謂、テクニカルタームというものである」など、一般的に知られていない言葉を使う場合は、その言葉を知っている人、または団体相手への使用に限られます。

状況や言葉を説明する時によく使われます。
「これは、所謂地元名物というものではないだろうか」
「テクニカルタームとは、所謂専門用語のことである」
ただし、後者のように一つ前の言葉を他の言葉で説明し直す場合には「即ち(すなわち)」を使用するのが一般的です。

読めない方が比較的多い点から、意味もなく使うことは避けたほうが無難です。
小説を書く時や、論文を発表する際などに「所謂くらい漢字で書かなければ(読めなければ)恥をかく」というような状況や環境の時に使うのが良いでしょう。
特に、小説の場合などであれば意図的に入れることで読者層を選ぶ、という目的で使用することもできます。
小説ではそのような珍しい単語が登場することは珍しくなく、読めなければ辞書を引く、というのが昔は当たり前でしたし、現代でも熱心な読書家であれば辞書や、読みがわからなくても言葉の意味を検索する手段を持ち合わせていますし、それを調べる情熱がある方のみを読者層にするということです。単純に、漢字で書いた方がその文の雰囲気に合う、というケースもあります。

世間一般でいう所の、という意味を持つ言葉であるにも関わらず、所謂を読めない方向けに漢字表記をすることは本末転倒と言えるため、避けるべきでしょう。
特に目的なく使用して読者を混乱させるというのは、読み手にあまり好まれることではありません。

言葉は所謂一つの伝達手段であるため、使用する際は伝える相手への気遣いが必要です。




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