島人総出で伝統を継承する「種子取祭」

八重山諸島の玄関口となっている石垣島に最も近い離島・竹富島。周囲約9kmの小さな島内には、赤瓦の民家と白砂の道が続き、どこか懐かしい沖縄の原風景が残っています。石垣島から簡単に行くことのできる離島として、観光客にも人気の島です。

今回は、種子取祭について紹介します。

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種子取祭とは?

 

竹富島では、伝統を重視した様々な行事が開催されています。中でも約600年の伝統があるといわれる「種子取祭」は、1977年に国の「重要無形民俗文化財」に指定され、島内で最も重要な祭事として受け継がれています。

竹富島には「かしくさや うつぐみどまさる」(一致協力することが何よりも大切である)という言葉があります。これが島人の考え方の基本となっており「種子取祭」には島を離れた多くの人々も里帰りし、島人総出で祭りを開催します。

 

「タナドゥイ」や「タネドリ」と呼ばれる「種子取祭」。

毎年、旧暦9月または10月(新暦の10月~11月頃)の庚寅(かのえとら)、辛卯(かのとう)の2日間を中心に、9日間もの日程に渡り開催されています。

「種子取祭」は、その名からも分かる通り、農耕に関する行事。祓い清めた土地に種を蒔き、無事に育つことを祈願する祭りとなっています。現在の竹富島では農業を行っていませんが、古来より伝わる儀式を大切に継承しているのです。

 

「種子取祭」が最も盛り上がるのは7日目と8日目に行われる奉納芸能。

2日間で約70点を超える伝統芸能が、神に捧げるために披露されます。

奉納芸能は大きく分類すると「踊り(ブドゥイ)」と「狂言(キョンギン)」とに分けることができます。女性は華やかな舞踊を担当し、男性は勇壮で時にひょうきんな狂言を担当します。

竹富島には玻座間村と仲筋村の2つの村があり、「種子取祭」の奉納芸能は、この2つの村の競演。毎年、7日目は玻座間村が担当し、8日目は仲筋村が担当することが決まりです。

 

2日間に渡る奉納芸能は観光客も見学可能で、多彩な演舞を見ようと毎年島を訪れる人も少なくありません。期間中は、島人総出で祭りを開催するため、観光バスも水牛車も休業。竹富島の集落を散策しながら、ゆっくりと祭りの雰囲気を満喫するのがオススメです。

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種子取祭の日程とアクセス方法

 

【日程】

2017年の日程は未定

奉納芸能は「種子取祭」期間中の7日目と8日目の2日間に開催予定

 

【会場】

世持御嶽前広場(竹富民芸館向かい)

入場無料

 

【アクセス方法】

*那覇空港→南ぬ島石垣空港〈飛行機〉約50分

*南ぬ島石垣空港→石垣港離島ターミナル〈車〉約30分〈バス〉約40分 540円

*石垣港離島ターミナル→竹富港〈高速船〉約15分 1150円(往復)

*竹富港→会場〈徒歩〉約15分

 

奉納芸能が開催される2日間には「石垣港⇔竹富港乗船券」と「竹富港⇔会場送迎バス券」がセットになったチケットが販売されます(1400円)送迎バスを利用すると竹富港と会場間を5分くらいで移動できます。

奉納芸能開催期間中は高速船臨時便もあります。

 

【駐車場】

駐車場なし

 

種子取祭の見どころ

「種子取祭」は「不眠不休の祭り」ともいわれています。

メインイベントでもある奉納芸能が始まった日に、夜通しのユークイが行われるためです。

ユークイとは、世乞いと呼ばれる豊穣祈願。

奉納舞台の初日が終わり、日帰りの観光客が島を去った後、ユークイの儀式が始まります。奉納芸能と合わせると36時間もの間、不眠不休で行われる様々な儀式。「種子取祭」の真髄といっても過言ではありません。

ユークイには、白いはちまきとユークイ歌の歌詞が書かれた冊子を購入すれば、観光客でも参加することができます。白いはちまきを頭に巻いて参加することが、ユークイでは義務付けられているのです。

初めに行われる「イバン戴み(イバンカミ)」の儀式で神前に供えてあったイバン(クネンボの葉)をいただくと、翌日のイバン返還の儀式まではユークイヒトゥ(人)としてユークイから抜けることはできません。参加する場合はそれなりの覚悟が必要ですが、貴重な体験となること間違い無し。島人と思いを共にし「種子取祭」に参加するのもオススメです。




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