普段何かと使われる「格好の餌食」
格好には「格好」と「恰好」の2つが使われます。正しいのはどっちでしょうか?
そしてそもそもどんな意味なんでしょうか?由来についても調べてみました。
[ad#codo1]格好の餌食とは?
「格好の餌食」とは、犠牲にするのにちょうどいい者のことを言います。
悪いたくらみを成功させるためにターゲットにし易い相手のことです。
そもそもの意味はなんでしょう?
「格好」というのは「ちょうど良い」、「お似合いの」という意味を持っています。
「餌食」というのは「動物の餌として食われる生き物」「他人の欲望のために犠牲になるもの」のことを言います。動物の餌にしても欲望の犠牲にしても命あるものが、誰かのために犠牲になるということです。
ゆえに「格好の餌食」とは言われる側にとっては屈辱的で残酷な意味になります。
企てる側にとっては「鴨がネギ背負ってやって来る」のようなチャンスを意味します。しかしあまり思いやりのある言葉ではありません。
第三者的な立場で何かの物事を見ていて、誰かのことを「格好の餌食」になっているなどというのも、その人を蔑んでいる言い方なので気を付けた方がいいでしょう。
「格好」とは?なぜ見た目が餌食に?
「格好の餌食」という文字はもともとは「恰好の餌食」という漢字であらわされていました。どちらが正しいということはなく、どちらの漢字も使います。
「恰」は「あたかも」「ちょうど」という意味を持っています。「好」は「良い」という意味です。合わせて「ちょうどよい」「ふさわしい」となります。
形や見た目がちょうどよいというところから、姿形そのものや体裁を表すようになり、「格好」の漢字があてられるようになったのです。
ですので、同じような意味の言葉で「格好の的」がありますが、こちらも「恰好の的」という字があてられることがあります。
日本語の面白いところは進化して行くところです。
本来は「恰好」で「格好」は当て字なのですが、今ではどちらも正しいと明記されています。辞書をひいても最初に「格好」が出てくることが多いです。
[ad#codo1]格好の餌食の使い方とは?
「格好の餌食」はその人や生き物を指す場合には良い表現ではありませんが、先ほどの「日本語の面白いところは進化して行くところ」で、様々な使い方があります。
今までのイメージでは悪人から善人または弱者へ使う言葉でした。まずは、その例文を紹介します。
- スキャンダルを起こしたタレントはマスコミの格好の餌食になる。
- 暇を持て余した連中にとっていじりがいのある彼は格好の餌食になった。
- 貯金を貯め込んでいる彼女は結婚詐欺師の格好の餌食になった。
- 飢えたライオンの檻に入れられたウサギはライオンの格好の餌食になった。
- 姑にとって従順な若い嫁は格好の餌食だ。
では、最近見かける「格好の餌食」の使い方を紹介します。第三者的立場で「悪」から「悪」に対して使っているパターンです。
- 雑菌は角膜炎の原因になるアメーバの格好の餌食である。
- 生乾きは雑菌の格好の餌食になる。
- フケや皮脂は雑菌の格好の餌食だ。
- 抵抗力が落ちると病原菌の格好の餌食になる。
「菌」に対して使うことが多いですが、このような使い方だと、誰かを蔑むことなく的確にその状況がよくないことを表現できます。
また、「悪」から「悪」ではありませんが、誰かを蔑まない使い方が他にもあります。
- 紫外線対策をしていない肌は紫外線の格好の餌食になる。
- 花粉の季節、長い髪の毛は花粉の格好の餌食になる。
- 草むらでの半袖など露出した肌は虫の格好の餌食になる。
いかがでしょう。この使い方が正しいか間違っているか正確には分かりませんが、ユニークで「気を付けなければならない」と強く思えるのではないでしょうか。
それでもやはり、「餌食」という言葉を人に対して使うのは失礼なことです。よく気を付けて使うようにしたほうがいいでしょう。