日常の場面として良くあるのが、例えば、上司の悪口を仲間内で話していると、背中に人の気配を感じる…。背筋が凍る思いで振り返ると、そこに上司が立っている。

ちょっとこっちへ来い!と言わんばかりに目尻が吊り上がっている。良くある光景だ。

「噂をすれば影がさす」

そんな時に良く使われる諺である。

今回は、日常で使われている噂をすれば影がさすの意味と語源に迫りたいと思います。

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噂をすれば影がさすの意味とは?

そんな日常にありふれた光景を現した諺にも、諸説ルーツがある。

大凡の意味としては、「人の噂をしていると、たまたま当人が出現する事が良くあると言う例えで、その人の話をする分には構わないが、どうしても悪口になりやすいので、人の噂は程々にとどめておいた方が良いよ」。

そんな意味になる。

類義語として「悪魔の噂は悪魔を招く」、「噂を言わば番人置け」「噂をすれば主来たる」、「噂を言わば筵むしろを敷け」と言うのがある。「人の噂は七十五日」と言うのも同じ意味合いがある。

諺の使い方も概ねそういう場面で相違がない。

噂をすれば影がさすの由来は曹操?

実はこの諺は、世界各国に同じ様な意味合いの諺・言い回しがある。

最も具体性が帯びるのは後漢時代の曹操の人柄と政策・兵法に由来する所が大きい。

「曹操の話をすると曹操が現れる(説着曹操、曹操就到)」

曹操は非常に切れ者の武将であり、政治家・兵法家として名高い。

政治家としての曹操は、戦術に長けた才能ある人材を品行や素性に捉われることなく登用している事から、細部に人事的に優れた目線もあり、先を見通した政術にも強い。

また、将軍としてリーダーシップをとり、優れた戦略家としても、奇襲・伏兵を用いた戦術を得意としていた。当時としては珍しい奇襲を数々残して戦いに勝っている。

つまり、あらゆる難敵に向かっていく中で、そうした戦術も頭脳的に行ったのだろう。

中国にはそうした歴史上の人物をモチーフにした諺があり、上記の様に「噂をすれば~」となるようだ。

それは、曹操が非常に勘が鋭く戦略家であるが故に、むしろ、後付け的に配置された諺なのかも知れない。

 

なぜ英語だと「悪魔」なのか・類似した諺(フランス)

日本の場合は「誰(WHO)」は指定せず、「噂(GOSSIP)」と訳される。
さて、日本の諺、中国の武将の歴史。

その辺りから諺の発祥があるのだとしても、世界各国に同じ様な諺があるのだから、世界共通の観念として「噂をすれば影がさす」は通じるのかと思います。
しかしながら、「WHO」の部分が中国では曹操ならば、他の国はどうなのだろうか。

英語圏では専ら「悪魔(DEVIL)」と比喩する事が多いようです。

例えば、Talk of the devil, and he is sure to appear.
「悪魔のことを話すと悪魔が本当に現れる。」
Talk of the devil and he will appear.
「悪魔の話をすれば悪魔がやがて現る」もしくは、その人の名前を例えに出す場合があるそうです。

面白いですよね。

曹操→名前→(人の)噂→悪魔と変遷して行くのです。

これは、国境を跨いで諺の意味する「張本人」がネガティブな意味で「悪者」の対象である事には間違いないと言っている様なものです。

そして、ヨーロッパ圏のフランスでは、こんな例え方をします。
Quand on parle du loup, on en voit la queue.
「人が狼について話をすると、人はその尻尾を見る」

悪魔・悪者の身近な例えとして「狼」になるのです。童話「三匹の子豚」や「赤ずきん」でも登場する悪の権化的な意味での「狼」であります。

色々調べてみると、中世ヨーロッパでは「狼」は「死・恐怖」の対象として描写されるのです。童話のストーリーは皆さんご存知の通りでしょうが、これは非常に興味深い事です。

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「噂をすれば影がさす」を要すると

「人の噂・悪魔・狼・悪者」の事を話すと「影、悪魔、死・恐怖・尻尾、その人本人」が現れる。

となります。
ある時は、逆鱗に触れ、ある時は死を招き、恐怖心を覚え、狼が襲って来るのです。

まぁ、考えてみると噂の張本人を激怒させたりするのが一番怖い訳ですが、結局のところは、余りその人の愚痴や文句を言うなと。そういう意味ですし、巡り巡って、悪口を言った自分に不幸が降りかかってくるよ。そう言う事なのだろうと言えます。
でも、諺の意味や由来は兎も角、噂をすればその人が現れる。

この現象自体は一体なんだのでしょうか?

偶然にしても出来過ぎていますし、確率が物凄く高くないかな(笑)と思っているのは筆者だけではないはず。「壁に耳あり障子に目あり」ではないですが、どこかに盗聴器が仕込んであるのではないかと思う位のタイミングの良さ。正に「地獄耳」「千里眼」なのかも知れないし、ひょっとすると、噂の張本人にはそうした超常的な能力があるのかも知れません。

その一人が曹操と言えばそれまでですが、諺とはいえ、逆の意味で凄い才能を表現した事なのかも知れない。

「人の噂も七十五日」。じゃあ、75日も前から噂が絶えないのか?とも表現できるし、75日も話題になるのか?それ位の影響力を持っているのか。そうも言えると考えられます。

非常に深い諺だと思いませんか?
噂の張本人には成りたくありませんが、諺に残る様な偉人には(努力して)なってみたい。
「噂をすれば影がさす」

背中に人気を感じたら、即座に口を噤んでください。
影がさしたら要注意です。




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