「ワードロービング」という言葉を聞いたことがありますか?クーリングオフは商品を購入したうえで、何か不都合なことがあった場合に返品をすることですが、今社会問題になっている「ワードロービング」は悪意ある返品行為のことです。

このような目的で商品を購入するのは、大人として恥ずべき行為ですし、被害にあわないためにも、「ワードロービング」についてしっかり知識をたくわえておきましょう。

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ワードロービングとは?

返品することを前提に商品を購入して使用し、返金を求める行為のことで「返品詐欺」の一種です。一日限りのパーティーやイベントのために高額な衣服や電化製品を購入、使用して返品するなどの悪質な例もあります。「ワードロープ」とは、衣装戸棚の意で、店の商品をあたかも自分の衣装のように使うことから命名されました。

このため狭義ではもっぱら高級衣料品が対象となるものを指しますが、広義では、より一般的に、道具類や電化製品、コンピュータなどを対象とした行為も含まれます。

全米小売業協会(National Retail Federation)の2014年1月の発表によると、2012年の年末商戦において、調査対象となった全米小売業大手62社のうち、6割以上がワードロービングを経験したそうです。
また、イギリスでは、(本来の意味での)衣料品のワードロービングが広まっているとする報道が2013年の時点でなされています。

最も悪名高いワードロービングの事例のひとつは、ワードロービングされたビデオカメラだけを使って撮影された映画『デート・ウィズ・ドリュー』です。この映画の製作者は、カメラをサーキット・シティーで購入し、30日間にわたってこの映画の撮影に使用した後、カメラを返品して全額の返金を受けました。

より一般的にみられるワードロービングで、悪質とされる事例には、クリスマスツリー(クリスマス前に買って後で返品する)、大画面のテレビ(スーパーボウルなどのイベント前に買って後で返品する)、パーティーに出かける衣装や装飾品などがあるそうです。返品詐欺は全米で年間91億ドル(約1兆192億円)の損失を小売業者に与えるといわれています。

日本の通販でも、毎年入学式や卒業式になると真珠のネックレスを注文しては返品を繰り返すといった方が一定数いらっしゃるそうです。そもそも買う気もないのに、なにかとクレームをつけては返品を繰り返す自分勝手で迷惑な行為です。通販会社のわずか数パーセントにすぎませんが、そういった顧客がいることも確かですし、アマゾンや手作りアクセサリーをインターネットを利用して販売している個人事業主にも迷惑がかかっています。

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「ワードロービング」の問題点は?

インターネットでの取引やテレビの通販番組でよく見かける「〇日間返金保証」という制度。そもそも通販というものは、面識のない者同士の取引であり、商品を触って確認することもできません。画面では良く見えたのに現物は違うといったこともよくあることです。

その会社が安心できる会社なのか、送ってきた商品が全然違うものだったというトラブルも多々あります。その消費者のリスクを軽減するために業者側はこういった保証制度を提案し積極的に注文をしてもらうようにしているのです。

こうした独自ルールの運用で一定割合の返品が生じたとしても、返品可能という安心感の提供により売上を増やすことができればよいと考えているのです。

 

ワードロービングを行う悪質利用者は、このような事情で通販業者が設けた独自返品ルールを悪用し、ドレスや靴などを注文して着用した上で返品して、実質的に無償でレンタルを受けるような利益を得ています。

ワードロービングをする人が増えれば、販売業者の利益を圧迫し、その損失経費を商品価格に上乗せして善良な消費者が損をするという構図が広がってしまいます。

無駄な商品の配送や破棄が繰り返されることにもなり、環境的損失や従業者の苦役増大にもつながることでしょう。ワードロービングを行う悪質利用者は、社会的な問題人物です。

通販業者もこういった被害を避けるために、ワードロービングを抑制する対策に取り組めば良いのですが、消極的のようです。

悪質利用者をシステム的に排除しようと考えると追跡調査等で多額の費用が発生します。ワードロービングを行う悪質利用者の実数は少ないため、そこに費用をかけるよりもワードロービングを黙認し、その損失費用を商品価格に上乗せした方が合理的だという判断があるようです。

現状では、通信販売を利用する人々の良識や道徳心に期待する形になってしまい、公正な取引の実現は難しく、やはり悪質行為にはペナルティを適用して抑制を図る必要があるでしょう。こういった被害が増え続ければ、一般の利用者が損をすることになり、企業側もリスクを負いつつもワードロービング対策を企業側はせざるおえなくなるでしょう。

良識をもった消費者になろう!

顔がみえない取引きだからか、電話口で横柄な態度をとったり、クレームをつける消費者は意外と多いものです。ワードロービングは立派な詐欺罪です。人間として、消費者としての良識をもって気持ちよく通販を利用することを心がけましょう。



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