山から聞こえる不思議なきつねの鳴き声 日本人には身近な野生動物のキツネ。
私の暮らす北海道では、キタキツネ。 本州に暮らす方にはホンドギツネが身近な動物です。 キタキツネは都会でも、少し自然の残る公園などで見かけることがあります。
本州に暮らすホンドギツネは幼い頃に動物園で見たことはありますが、自然の中で会ったことはありません。
そこで、今回は同じ日本のキツネの中でもキタキツネの鳴き声についてお話しさせていただきます。
実際のきつねの鳴き声
キタキツネは本州に暮らすホンドギツネに比べ、体はやや大きく豊かな金色の毛並みを持つ特徴があります。
北海道で暮らしていると、郊外に住む方は家の裏庭や原っぱ、都市部の市街地に住む方でも公園でキタキツネを目にすることが多くあります。
鳴き声となると、さらに多く繁殖期や空気の澄んだ冬場では遠くからキタキツネの鳴き声が聞こえることもあります。 まさに、「北の国から」のようです。
キタキツネの実際の鳴き声を聞いたことはある方はいますでしょうか?
きつねの鳴き声は「コーン」「コンコン」と表現されることが多くあります。
実際は少し違います。 キタキツネの鳴き声でよく聞かれるのが遠吠えです。
大型犬の遠吠えより、かなり高音の声で鳴いており、季節によっては少し濁る場合もあります。 言葉で表すと犬が「ワォォーーン」でしたらキタキツネは「フォーーン」といった感じでしょうか?
濁った鳴き声のときは「ぎゃぉぉーん」と何だか子どもの叫び声に聞こえてしまうときもあります。 私は聞いたことはありませんが、子連れのお母さんキツネと子どもは、母犬と子犬の鳴き声のように「クンクン」と鳴くことが多いと聞いています。
きつねがなく意味と理由?
さて、キツネはなぜ鳴くのでしょうか?
それは本州に暮らすホンドギツネも北海道に暮らすキタキツネも、どちらもアカキツネと呼ばれる種類のキツネです。 アカキツネは秋から冬にかけてパートナーを見つけ、冬の間は巣穴を作り子育てをするためです。
アカキツネが遠吠えのように鳴く理由はメスとオスが互いのパートナーを見つけるための「鳴き交わし」と呼ばれる習性のためです。
これは、繁殖期が近づいたオスが遠吠えのような鳴き声を上げて、メスがそれに応じる形で鳴き声を返します。 はじめは遠かった距離をお互いの鳴き声を頼りに縮めていき、ダンスを踊ってパートナーに相応しい相手かを見極めるそうです。 何だか人間のナンパのようですね。 また、子どものキツネがお母さんキツネに「クンクン」と子犬のような鳴き声をするのは、その様子の通り位の低い子キツネが上のお母さんキツネに甘えているためです。
犬のような鳴き声をしているのは当然です。 キツネはイヌ科に分類され、その下の分類ではキツネ属と分かれていくため犬の近い親戚になるからです。
鳴き声が悲鳴に聞こえるが、どういう意味?
アカキツネの鳴き声で気になるものがありますね。 本州に暮らすホンドギツネも北海道に暮らすキタキツネも秋から冬にかけて、山は草原の中から叫び声に聞こえる鳴き声を上げることがあります。
先ほどお話しした遠吠えのような鳴き声より、さらに大きく濁った「ぎゃぉぉーん」という鳴き声です。 この鳴き声を出す理由はまだハッキリとはわかっていませんが、2つだけ明らかになっていることがあります。
それらは、①秋から冬にかけての繁殖期に鳴く、②ほとんどがメスの鳴き声であることです。 この2つのことから、繁殖期のメスがオスに呼びかけてもらうために鳴き声を上げているのではないかと考えられているそうですよ。 キツネの求愛は、オスの声かけからダンスで相応しい相手かを見極めるパターンでしたが、オスが近くにいないときにはメスの方から積極的に声をかけていくんですね。 まさに逆ナンと同じでしょうか。